商社マンに求められる3つの能力

    特定のビジネスモデルを持たない総合商社のビジネス

    総合商社は実に様々なビジネスを展開しています。

    扱っている商品は食品、化学品、食品、衣料品、自動車など多岐に渡り、扱っていない商品を探す方が難しいほどです。一昔前の総合商社はこれらの商品を海外から輸入したり、日本から海外に輸出したりしてフィービジネスで富を蓄えてきたわけですが、メーカーの海外進出などで、貿易では儲からなくなったため、自ら資産を持って稼ぐことを始めました。

    投資です。投資先も実に様々です。資源の権益からコンビニ、不動産会社、IT関連企業など金融機関以外のほとんど全ての業種を傘下に収めています。これほど多様なビジネスを展開しているのは世界広しと言えども日本の総合商社以外にそう多くはないでしょう。

    日本の総合商社はこのようにビジネスのフィールドを限定せず、特定のビジネスモデルに拘ることなく、とにかく儲かりそうなものに目をつけ、業容を拡大してきたのです。“特定のビジネスモデルに拘らない”これこそが商社のビジネスモデルと言えるかもしれません。さて、このような特徴を持つ総合商社の中で活躍するためにはどのような能力が必要でしょうか?

    既成概念に囚われない柔軟な思考

    前述したように、商社は特定のビジネスモデルに囚われることなく、活躍のフィールドを広げてきました。普通の会社であれば、本業とでも呼ぶべき特定のビジネスモデルを持ち、それをひたすら回すことで収益をあげます。

    銀行であれば、預金を集めて企業や個人に貸し出す(最近の銀行は低金利にあぐらをかいて、安い金利で集めたお金で国債を買うなどという楽な商売をしているようですが・・・)、メーカーであれば様々な製品を作ってはいても、エンジニアが製品を作り、広告担当が宣伝をして、営業担当者が商品を売るといった確立されたモデルがあります。

    しかし商社にはそういった柱となるようなビジネスモデルは存在しません。もちろん時代によってIT分野で収益を上げたり、資源分野で稼いだりとその時代ごとに収益の柱となるビジネスは存在します。しかしそれは商社にとって普遍的な柱と位置付けられるものではなく、刻一刻と変化するものです。

    それを社員が認識し、次々と新しいビジネスを作り出していけなければ、特定の技術を持たない商社はすぐに衰退してしまうでしょう。既成概念に囚われていては新しいものは生まれません。常に斬新なものを生み出す柔軟な思考こそ商社マンにとって重要な素養です。

    猛烈に勉強する胆力

    商社は常に時代に合った新しいビジネスを探し求め、稼ぎ続けなければなりません。新しいことを始めるには勉強が必要です。しかも5年も10年もかけてやる研究のような勉強ではありません。

    自分が展開しようと考えるビジネスについて、その市場やライバルの動向、商品の裏にある技術など新しいことをやろうとすれば勉強することは山ほどあります。この山のような課題を3か月から半年で勉強して頭に叩き込み、ビジネスにして稼がなければならないのです。

    猛烈な勉強を継続するために一番必要なのは胆力だと思います。分からないことにぶち当たってもとにかく調べ抜く、考え抜く。絶対に最後まで諦めずに粘る。こういったメンタリティーがなければ勉強は継続できません。商社が展開する新しいビジネスの裏にはこういった社員の猛烈な努力があるのです。

    勘で稼げるほど世の中は甘くはありません。どんなビジネスでも勉強して、理論を積み上げるということは必須です。(最終的に稼げるかどうかは運にも左右されることは否定しませんが)

    ハイレベルなコミュニケーション能力

    商社マンはメーカーのエンジニアのように特定の技術を持っているわけではありません。そんな商社マンにとって重要なのは情報です。情報は、情報を持っている相手を接待漬けにすれば得られるというものではありません。

    情報提供をしてもらうには、人として信頼され頼りにされている必要があります。それは誠実だということもありますが、何より「こいつに情報を与えればいいことがありそうだ」というビジネス上の信頼関係が重要だと思います。

    重要な情報を持っている取引先に対しては、常に情報を提供してもらえるよう、日頃から誠意の限りを尽くす。そして無償で相手の役に立つ情報を与えるなどの地道なコミュニケーションが必要になります。

    コミュニケーション能力はどの会社でも求められます。相手の意図を理解する、自分の言いたいことを過不足なく相手に伝える、こういった一般的なコミュニケーション能力も非常に大切です。しかし外部から情報を得なければならない商社マンにはもう一段上の”人たらし”とでも呼ぶべきレベルのコミュニケーション能力が必要になります。

    さいごに

    今回は、商社マンに必要な能力として筆者が特に重要だと考えるものを3つあげました。

    ・既成概念に囚われない柔軟な思考
    ・猛烈に勉強する胆力
    ・ハイレベルなコミュニケーション能力

    これらは、どれが欠けても商社で活躍するのは難しいと考える3要素ですが、現時点でこれらの能力が欠けていたとしても、自分の努力次第で全て鍛えることのできる能力だと思います。商社を志望している学生の皆さん、商社への転職を志望している社会人の皆さんもこれらを意識して普段から生活してみては如何でしょうか。

なぜ他の商社じゃなくてうちなの?という質問への2つの回答

面接官の信じられないほどの愚問

商社に限らず、どこの業界を受けていても、面接の際に「他にも同じ事業を行っている会社はたくさんあるのに、なぜ弊社を志望しているのですか?」と聞かれることがあります。商社であれば、「他の商社じゃなくてうちを志望しているのはなぜですか?」とか、非財閥系商社(伊藤忠、丸紅など)の面接では「財閥系の商社(三菱商事、三井物産、住友商事)ではなく、うちを志望するの?」という質問が出ます。私は5大商社全てを受験しましたが、どの商社でも同じような質問が出た記憶があります。これは多くの就活生にとって愚問です。なぜなら多くの学生は「商社で働きたい」という願望ありきで、全ての商社を受験し、内定をもらえた会社に就職するというスタンスだからです。商社どうしの違いは学生には分かりませんし、優劣をつけるとしたら業界順位程度であって、特定の商社だけを志望しており、それ以外の商社は受けないという学生はほとんどいないでしょう。

少なくとも私が面接官であれば、そんな質問はしません。なぜなら学生の回答が本音である可能性は少ないですし、そもそも学生の能力とは何の関係もない問題だからです。限られた面接の時間をこんなくだらない質問のやり取りに費やすのは本当に無駄です。

まさか学生が本当に「自分の会社だけを志望して受験してくれている」というアホな面接官はいないとは思いますが、、、昔からの慣習というか惰性で質問しているという感じではないかと思います。

それでも答え方を間違うと減点対象になりかねないので気を付けたいところです。

今回は伊藤忠や丸紅で質問される「なぜ財閥系じゃなくてうちなの?」という質問に対する回答を考えてみたいと思います。

 

「なぜ財閥系じゃなくてうちなの?」に対する回答例

この質問が不毛だと言うことは前述の通りですが、面接においてはかなり高い確率で聞かれるというのも事実です。

私の知り合いで、N産自動車の面接を受けた際、「なぜT田じゃなくてうちを志望しているの?」と聞かれ、「T田から内定が出ればT田に行きます」と、眩しいくらいの本音を話してしまい、みすみすN産自動車の内定を逃した人がいました。賢い皆さんはこんな愚は犯さないとは思います。「三菱商事から内定を頂ければ御社には入りません」なんて口が裂けても言いませんよね・・・?それでも面接で緊張していたらつい本音が出てしまうかもしれません。だからこういう定型化された質問には事前に回答を用意しておくべきです。くだらない質問だとは思いますが、回答次第ではプラスの評価を得られる可能性もあるのです。

要は面接官が想定していないような形で、会社のよさを説明するということです。面接官も社員ですから、自分の会社をよく言われて悪く思う人はいないでしょう。しかし多くの学生が口にするような月並みな言葉を並べても、面接官の心には響きません。プラスの評価を得られるポイントは面接官を唸らせるような理論とオリジナリティーです。

では非財閥系商社の面接において、「なぜ財閥系商社ではなくうちの会社を志望されるのですか?」と聞かれた場合の回答例です。

 

回答例1

面接官A 「なぜ財閥系商社ではなくうちの会社を志望されるのですか?」

学生 「私は財閥系と非財閥系の違いは、企業の後ろ盾があるかないかだと考えています。財閥系商社は系列に銀行や証券、メーカーなど多くの企業があります。恐らく会社の経営が悪化して、倒産しそうになっても他の系列企業が助けてくれるのではないでしょうか。財閥系であれば国が公的資金を注入してくれるかもしれません。しかし非財閥系には助けてくれる系列企業はないだろうと思います。この環境の差が業務にもたらす緊張感は非常に大きいものだと考えています。私は安定した環境よりも、常に目標を高く掲げ上を目指す性格です。だから財閥系商社よりも、何の後ろ盾もない中で財閥系企業と戦う非財閥系企業に魅力を感じています。」

どうでしょう?学生とは思えない程深い知見が伺えますし、自分の性格と結び付けて説明しているあたりも非常に筋が通っていると思いませんか?このような財閥系と非財閥系の違いは、当の社員は案外考えていないものです。“自分の会社にもそんなに素晴らしいところがあったのか”と嬉しい気持ちになるはずです。

 

次は相手の心に訴えかける回答です。

 

回答例2

面接官A 「なぜ財閥系商社ではなくうちの会社を志望されるのですか?」

学生 「私はこれまでいつも自分より上の人を目標にして、その人を超えるための努力をして成長してきました。現時点での業績は御社より財閥系の方が上かもしれませんが、私が入社したら財閥系商社に追いつき追い越せるように、先輩の皆さんと一緒に力を合わせて全力で仕事に打ち込むつもりです。だから財閥系よりも非財閥系の御社に入って、上位商社を超えるために、身も心もひりつくような仕事がしたいと考えています。」

回答例1に比べると理論的ではありませんが、いわゆる「熱い思い」を伝えようという戦法です。最近の学生には熱すぎてこっぱずかしいと感じられるかもしれませんが、これくらい個性的なコメントが出来なければ面接官の印象には残りません。熱い思いがどれくらい大切かどうかと言われると微妙なところですが、商社には体育会出身で情熱家の方が多く、こういう言葉が心に響く社員も多く存在するということを忘れないで下さい。

 

さいごに

総合商社への就職は競争が激しく、受ける学生も一流大学の出身者やスポーツなどで目覚ましい成果を上げた人ばかりです。そのような競争を勝ち抜くためには、面接で他の人と同じようなことを話してもダメだということです。面接官の心に残るように理論性とともにオリジナリティーが絶対に必要だと思います。だから先ほどの回答例2のような「熱い」コメントをすることを躊躇わないで下さい。奇をてらう必要はありませんが、自分の思いを素直にそして相手の心に届くように自分の言葉で話すということはとても大切なことです。面接は人と人とのコミュニケーションですので、自分が言いたいことを言っても相手の受け止め方の問題もあり、必ずうまくいくというものではありません。それでも難関を突破するために戦略を練って面接に望むことがその後の人生に生きてくるのだと思います。是非皆さんも面接のHow To本ばかり頼らずに、自分の発言が相手にどう響くかを想像し、自分で発言内容を考えてみて下さい。でも上の回答例は是非使ってみて下さいね(笑)

それでは就活生の皆さん、これから就職活動も佳境を迎えると思いますが、体調に気を付けて頑張って下さい!

MARCHの学生が総合商社の内定を取るための異端の面接戦略

“やりたいこと”が見つからなければ“人気企業”を目指してみよう

世の大人たちは就職活動をしている学生に対して、まずは“やりたいこと”を探せと言います。しかし、多くの学生にとってやりたいことを見つけるのは簡単ではありません。働いたことがなく、仕事に対する知見のない学生が「やりたいことが分からない」というのは自然なことだと思うのです。「明確にやりたいことは決まっていないが、仕事を通じて自分が成長できる会社に就職したい」これが多くの学生の本音ではないでしょうか。

では成長できる会社とはどのような会社でしょう?

それは優秀な人が多く集まる会社だと筆者は考えます。新入社員は仕事というものがどういうものかも分からない状態で入社するわけです。だから周りに優秀な人がいなければ仕事において「優秀というのがどういうことか」すら分からない、あるいはすごくレベルの低いところで「優秀さ」を定義してしまう危険性があります。

優秀な人はどの会社にもいますが、確率的に考えると人気のある企業には優秀な人が集まります。人気のある有名企業ばかり志望するのは、一見オリジナリティがなく志が低いように思えますが、成長意欲のある人が人気企業を志望するのは合理的だと言えるのです。

やりたい仕事が見つからないと嘆くよりも、ある意味開き直って、学生に大人気で優秀な社員の多い会社の内定を取る努力をすることの方が、「やりたいこと探し」よりも現実的で将来生きてくる就職活動の在り方ではないかと思います。(本当にやりたいことが決まっている学生にとってはこの限りではありませんが)

今日は私が考える、超難関“総合商社”の面接を勝ち抜く戦略について書いてみます。

 

熾烈を極める総合商社の就職戦線

近年、新卒採用における総合商社の人気はかつてないほど高まっています。特に三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅の5大商社の人気はすさまじく、各社とも東大・京大・早稲田・慶応などの日本の上位校の学生による志望企業でも上位にランクインしています。

参考:http://www.leadingmark.jp/article/data/article/vol01.html

さて、2014年の5大商社の採用実績を見てみましょう

三菱商事              169名

三井物産              150名(筆者推定)

住友商事              139名

伊藤忠商事           121名

丸紅                     131名

*三井物産は筆者推定。その他は各社のホームページより引用。

合計すると約700名になります。新卒で5大商社に入ろうと思えばこの枠をライバル達と争うことになります。総合商社はのべ30,000人くらいが受験すると言われていますから、ざっと計算しても40人に1人という大変狭き門です。

 

内定者の学歴から考える、商社の採用における学歴の位置付け

各社とも内定した学生の出身校までは公表していませんが、筆者の会社や周囲の他商社の知り合いの学歴などから推定すると、新卒で入社する人の7割程度は東大・早稲田・慶応・上智・一ツ橋 といった関東の有名大学出身者です。この他に、地方の有名国立/私立大学や関東のMARCH(明治、青山、立教、中央、法政)の出身者が各校数名ずついるといった感じです。MARCH出身者は各社10名ずつ、合計50名程度ではないかと思います。

社会人に学歴は無用だと言われますし、筆者もその通りだと思いますが、現実には偏差値の高い大学からより多くの人が内定を得ていることが分かります。ここには商社に限らず、採用活動における確率の問題があります。どの会社も「いい大学の方が優秀な学生がいる可能性が高い」という前提で採用をしているということです。MARCHの中にも優秀な人はたくさんいるはずですが、採用する側にはそれを見出すためにかけるコストも能力もないというのが現実かもしれません。

 

MARCH出身者はガチンコ勝負では分が悪い

このような状況であっても、MARCHから毎年確実に内定者は出ています。もしあなたがMARCHの学生であって、総合商社を志望していたとすれば、内定を取れる可能性は必ずあるということです。しかし、もしあなたが他の大多数の学生と同じように、授業やサークル活動などを中心とした普通の大学生活を送っており、商社に入りたい理由も「海外で働けて何となくやりがいがありそうだから」という程度であれば、それをそのまま採用面接で話しても採用される可能性は限りなく0に近いと思います。また、経歴に多少の脚色を加えたとしても採用されるのは簡単ではないでしょう。

東大や一ツ橋の学生と同じ戦略でガチンコ勝負をしても、今の日本の学歴重視の採用環境ではどうしても不利になってしまいます。就職活動もスポーツやビジネスと同じで「不利な状況」にはその状況なりの戦略が必要になります。下記で具体的な戦略について書いていきます。

 

志望部署や志望動機をライバルからずらす戦略

総合商社を志望する学生の多くは、資源ビジネスやプラント関連ビジネスなど、商社ならではの規模の大きいプロジェクトを志向しています。それ以外を志望する人でもほとんどは営業部署を志望しています。人事部、経理部、財務部、IT部門などのコーポレート部門を志望する学生というのはほとんどいません。だからこそ面接でコーポレート部門志望を伝えれば内定を得られる確率はグッと高まると筆者は考えます。

先ほど三菱商事の2014年の採用実績を169名と記載しましたが、このうちコーポレート部門の採用は何人いると思いますか?

答えは39名です。比率にすると内定者の実に23%がコーポレート部門に配属されているのです。これはすごい比率だと思います。

(データとしては三菱商事しかありませんでしたが、各社同じような事業を展開していることを鑑みると似たような比率だと推定されます。)

例えば、2014年に三菱商事を10,000名の学生が受験したとしましょう。このうちコーポレート部門の希望者は5%の500名程度とします(私が採用のお手伝い等を通じて得た感覚だともっと少ないかもしれません)。

残りの9,500名が営業部門志望だとすると、営業部門志願者の倍率は9,500名/130名=約73倍 になります。

一方、コーポレート部門志望の倍率は500名/39名=約13倍 になります。

営業部門とコーポレート部門では実に5倍以上も倍率が違ってくるということです。

もちろん、コーポレート志望者の中だけでコーポレート部門の社員が採用されるわけではありませんし、営業志望の人がコーポレート部門に配属されるということもあります。しかし面接でコーポレート部門志望ということを表明すれば、その希少性から営業志望に比べて内定の確率は上がると考えていいでしょう。例えば大学時代に情報分野の勉強をしていたり、簿記1級を持っているなど、他の学生と差別化できるものがあればなおさら優位に就職活動を進めることができると思います。もしコーポレート部門の仕事が嫌になったとしても、一旦入社してしまえば営業に異動するのは比較的簡単になります。営業部署を志望して新卒で内定を得るよりもよっぽど簡単だと言えるでしょう。

 

総合商社のコーポレート部門は志望動機を話しやすい

総合商社のコーポレート部門は、総合商社でしかできない仕事が多く、志望動機を考えやすいというメリットがあります。この点は営業部門に対する志望動機よりも明確に提示することができます。ポイントは総合商社だからこそできる「グローバルな業務」です。

1.人事部門

総合商社の人事部は採用のみならず、世界中に散らばる駐在員の処遇を決めたり、実際に世界各国に駐在して、駐在地で人事制度を設計したりします。そこには日本では味わえない現地の外国人社員との葛藤がありますが、それを乗り越えて現地社員と協力して仕事をする喜びがあります。人事部の社員に海外駐在のチャンスがある業種はそう多くはないでしょう。海外に大きな拠点を持つ総合商社だからこそ実現できることでもあります。こういった商社の特性と人事への興味を組み合わせれば志望動機として十分説得力のあるものになります。

2.経理部門

当たり前ですが、経理の仕事はどの会社にもあります。経理のない会社はありません。しかし筆者自身が経理業務に従事していることもあり、これだけは断言できますが、商社の経理ほど職務の幅が広く知的に高度な仕事は他の職種ではなかなかないと思います。総合商社のビジネスは取扱う商品や取引形態も多様であり、さらにそれらをグローバルに展開しています。学べる会計の範囲も広く、海外に駐在すればその土地の会計に詳しくなるチャンスも多く用意されています。これは総合商社で経理の仕事を志望する動機になります。これに自分の会計への興味を組み合わせれば、総合商社で経理の仕事をする動機としては十分なものになると思います。

3.財務部門

財務部門でも総合商社ならではの業務がたくさんあります。営業のM&Aなどに応じたプロジェクトファイナンスや借入・社債・CPなどを用いた多種多様な資金調達があります。また、海外に駐在すればその国の金融情勢に応じた資金調達や銀行との折衝などもあります。海外での資金調達などは海外に大きな拠点を持つ総合商社ならではの仕事と言えるでしょう。これに自分の金融への興味を組み合わせることで総合商社で財務の仕事をする動機としては十分なものとなるでしょう。

4.IT部門

商社を志望する人の中にはIT部門を志望する人はほとんどいないと思いますが、IT部門も毎年必ず採用があります。商社のIT部門の醍醐味は世界中の拠点をつなぐネットワークの構築であったり、社内の多種多様なニーズに応じたシステム開発などです。IT関連の企業はドメスティックな企業が多いため、海外転勤のチャンスがあるITの仕事はそう多くないと思いますが、商社であればIT部門の社員でも海外駐在は珍しくありません。また、商社を志望する人の中にITに造詣のある人は多くはありませんので、もし情報分野に知見があれば、就職競争という観点からも有利に運べると言えます。

 

ここまでコーポレート部門における志望動機の考え方を説明してきました。商社のコーポレート部門は他の業種ではなかなか味わえない国際色豊かな業務がたくさんありますので、他の会社ではなく「商社のコーポレート部門で働きたい」という理由付けはそれほど難しくありません。

 

さいごに

冒頭でも書きましたが、自分のやりたいことを見つけるのは簡単ではありません。学生の皆さんは日々の生活をエンジョイしているうちに、あっという間に4年生になって就職活動をしなければならなくなり、自分のやりたい仕事が分からずに戸惑っているかもしれません。筆者自身もそういう学生の一人であり、就職活動も人気のある企業、名の通った企業ばかりを志向していました。浅はかなようで、今考えるとあながち間違いではなかったと思います。やはり人気の企業には優秀な人が大勢います。その環境が自分の成長を加速させているという実感もあります。やりたいことがなくても自分が成長したい意欲さえ持っていればどこの会社に入ってもいい仕事ができるのではないかと思うのです。

就職活動中の皆さんは色々悩む時期だとは思いますが、後悔しないように頑張って下さい!